50名到達
従業員50名到達ガイド
常時使用する労働者数が50人に到達すると、労働安全衛生法上の義務が大きく増加します。本ページでは、50人到達時に発生する義務、必要な選任・報告、衛生委員会の運営、隔月訪問への切り替え要件などをわかりやすく整理しています。
OVERVIEW
50人到達で新たに発生する義務
労働安全衛生法上、「常時使用する労働者」が50人以上となった事業場では、以下の義務が新たに発生します。「常時使用する労働者」には、正社員・契約社員・パート・アルバイトの区別なく、常態として使用している労働者すべてが含まれます。派遣労働者のカウントは義務ごとに異なります。一般健康診断・ストレスチェックなどは派遣元でカウントされますが、産業医選任・衛生委員会・衛生管理者選任等は派遣元と派遣先の双方でカウントします。詳細は下表をご確認ください。
- 衛生管理者の選任(労働安全衛生法第12条・労働安全衛生規則第7条)
- 産業医の選任(労働安全衛生法第13条・労働安全衛生規則第13条)
- 衛生委員会(安全衛生委員会)の設置(労働安全衛生法第18条・労働安全衛生規則第22条)
- 定期健康診断結果報告書の労基署提出(労働安全衛生規則第52条第1項)
- ストレスチェックの実施(労働安全衛生法第66条の10・労働安全衛生規則第52条の9)
- 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(ストレスチェック結果等報告書)の労基署提出(労働安全衛生規則第52条の21)
※ 事業場ごとに判定します(同一法人でも別事業場ならそれぞれ判定)。
※ 選任は「選任すべき事由が発生した日から14日以内」、選任報告は「選任後遅滞なく」行います。なお、産業医・衛生管理者等の選任報告、定期健診結果報告、ストレスチェック結果報告などは、2025年(令和7年)1月1日から電子申請が原則義務化され、これに伴い従来の書面様式(選任報告の様式第3号、定期健康診断結果報告書の様式第6号、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書の様式第6号の3など)は廃止されています。電子申請を行う環境が整っていない場合は、当分の間、経過措置として書面による報告も可能です。
※ さらに、2026年(令和8年)8月1日以降は、産業医の選任時だけでなく、産業医が辞任・解任・退任した場合にも所轄労働基準監督署長への報告が必要です。あわせて、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会(安全衛生委員会)へ報告する必要があります。
| 制度 | 実施義務を負う者 | 従業員数のカウント先 |
|---|---|---|
| 一般健康診断 | 派遣元 | 派遣元 |
| 特殊健康診断 | 派遣先(有害業務に応じて) | 派遣先 |
| ストレスチェック | 派遣元 | 派遣元 |
| 衛生委員会 | 派遣元及び派遣先 | 双方 |
| 産業医の選任 | 派遣元及び派遣先 | 双方 |
※ 根拠条文:一般健康診断は労働安全衛生法第66条第1項、特殊健康診断は同法第66条第2項及び第3項、ストレスチェックは同法第66条の10、衛生委員会は同法第18条、産業医の選任は同法第13条。
CHRONOLOGY
対応スケジュール(推奨)
常時10人以上50人未満の段階
この規模では産業医の選任義務はありませんが、安全衛生推進者または衛生推進者の選任義務があります(労働安全衛生法第12条の2)。林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業は安全衛生推進者、それ以外の業種は衛生推進者を選任します。選任は選任すべき事由が発生した日から14日以内に行い、所轄労働基準監督署長への選任報告は要しませんが、氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者へ周知する必要があります。
※ この段階で健康管理体制を整えておくと、50人到達時の対応が円滑になります。当事務所では、選任義務のない事業場向けに顧問契約(産業医選任を伴わない相談対応)を用意しています。
50人到達
労働者名簿を確認し、常時使用する労働者数が50人以上となった日を特定します。
産業医・衛生管理者の候補選定
産業医は日本医師会認定産業医等の要件を満たす医師、衛生管理者は従業員のうち衛生管理者免許を持つ者から選任します。当事務所へのご相談もこの段階で承ります。
※ 専属産業医・複数産業医の要否、第一種/第二種衛生管理者の別は、労働者数・業種・有害業務の有無により異なります。
産業医・衛生管理者の選任 + 選任報告書の提出
選任は50人到達から14日以内に行い、選任後遅滞なく、所轄労働基準監督署長へ電子申請(e-Gov)により報告します。従来の書面様式(様式第3号)は2025年1月1日の改正で廃止されており、電子申請の環境が整っていない場合に限り、当分の間、書面による報告が認められています。当事務所は資格証明等の必要書類を提供し、手順をご案内します(届出代行は行いません)。
衛生委員会の設置と初回開催
議長は事業者指名者、委員の半数は労働者代表からの推薦者で構成します。初回開催日程を決め、産業医の出席を確保します。
初回訪問・体制構築の完了
産業医の初回訪問を実施し、事業場内の衛生管理体制、既存の健診・面接指導記録、就業判定の運用を確認します。当事務所では、この段階で貴社と体制構築のロードマップを共有します。
ストレスチェック実施 + 結果報告
50人以上の期間を含む各年度につき1回以上ストレスチェックを実施し、その結果を労基署へ報告します(報告は電子申請が原則で、従来の様式第6号の3は廃止されています)。
BIMONTHLY VISIT
隔月訪問への切り替え要件
産業医の作業場等巡視は、原則として毎月1回以上とされていますが、以下の要件を満たす場合、2か月に1回(隔月)に緩和することが可能です(労働安全衛生規則第15条第1項、平成29年6月1日施行)。
隔月訪問の要件(すべて満たすこと)
- 事業者が産業医に対し、以下の情報を毎月1回以上提供していること
- 衛生管理者が行う巡視(週1回以上)の結果(労働安全衛生規則第15条第1項第1号)
- 上記のほか、労働者の健康障害を防止し、又は健康を保持するために必要な情報として、衛生委員会(安全衛生委員会)の調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの(労働安全衛生規則第15条第1項第2号)
※ 隔月化の法定要件として規則が直接列挙しているのはこの2つです。なお、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1か月当たり80時間を超えた労働者の氏名及び当該超えた時間に関する情報は、隔月化のいかんとは別に、労働安全衛生法第13条第4項・労働安全衛生規則第14条の2第1項第2号に基づき、当該月の時間外・休日労働時間の算定後速やかに提供する必要がある情報です(安衛則第52条の2第1項は、面接指導の対象要件を定めた規定であり、情報提供義務の直接の根拠ではありません)。実務上は、この長時間労働情報を含めて毎月の情報提供を一体的に運用し、健康障害防止に必要な情報として衛生委員会で審議のうえ提供対象に位置付ける例が多く見られます。
- 衛生委員会での調査審議を経て、産業医の意見に基づき事業者が同意していること
推奨する見直し運用(法定必須ではありません)
- 隔月化の継続可否を、例えば半年ごとや年1回など定期的に衛生委員会等で見直す。
- 膨大な人員増や新工程導入など、作業環境が大きく変わる事情が生じたときは、毎月巡視への復帰を産業医と協議します。
当事務所では、月次の情報提供様式および衛生委員会での審議議事録のテンプレートをご提供しています。「隔月訪問に切り替えたいが、必要な手続きが分からない」というご相談も、顧問先の皆さまには追加費用なしで対応いたします。
DOCUMENTS
隔月訪問時に事業者が用意すべき月次書類
隔月訪問期間中、産業医が訪問しない月にも、事業者は毎月1回以上、下記の情報を産業医に提供する必要があります。当事務所では、以下の書式・様式をテンプレート化してご提供しています。
| 書類名 | 頻度 | 根拠 |
|---|---|---|
| 長時間労働に関する情報(要件に該当する者の氏名・時間に関する情報) | 月次 | 労働安全衛生法第13条第4項・労働安全衛生規則第14条の2第1項第2号 |
| 衛生管理者巡視結果報告書(毎週分の集約) | 月次 | 労働安全衛生規則第15条第1項第1号 |
| 衛生委員会議事録 | 毎回開催後 | 労働安全衛生規則第23条第4項 |
| 労働者の健康状態に関する情報(新規化学物質使用、休業状況等) | 発生の都度 | 労働安全衛生規則第15条第1項第2号 |
| 産業医が健康管理上必要と判断した情報(個人を識別しない集計・傾向情報を原則とし、個人情報は法令上の根拠、本人同意又は社内取扱規程に従い必要最小限) | 必要時 | 労働安全衛生規則第15条第1項第2号等 |
上記書類の様式については、書式・様式集もあわせてご参照ください。
CHECKLIST
50人到達直後の初動チェックリスト
50人到達直後の30日間で、以下の10項目を順次進めていくことをお勧めします。当事務所と契約いただく場合、すべての項目についてサポートいたします。
- 01 労働者名簿の確認と「50人到達日」の確定
- 02 衛生管理者の候補者選定と免許保持の確認
- 03 産業医候補との面談・契約条件の合意(当事務所は初回無料でご相談を承ります)
- 04 衛生管理者・産業医の選任(14日以内)
- 05 選任報告の作成と労基署への提出(電子申請が原則。書面様式は廃止済み)
- 06 衛生委員会の委員構成(議長・産業医・衛生管理者・労働者代表推薦者)の決定
- 07 衛生委員会規程の整備(開催頻度、議事録保存、周知方法)
- 08 初回衛生委員会の開催(月1回以上)
- 09 産業医の初回訪問の実施と、事業場の現状ヒアリング
- 10 ストレスチェックの実施計画立案(50人以上の年度につき1回以上実施)
CONTACT
50人到達のご相談は、初回無料で承ります
「50人に到達しそうなので相談したい」「もう到達しているが、何から手をつければよいか分からない」といった段階でも、お気軽にご相談ください。当事務所は、50人到達直後の中小企業様に多数ご契約いただいており、初動から体制構築まで一貫してサポートいたします。
お問い合わせ・ご相談※ 本ページの記述は、一般的な制度の概要をご紹介するものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際の対応は、事業場の規模・業種・作業内容を踏まえ、所轄の行政官庁・弁護士・社会保険労務士等とご相談のうえご決定ください。
初回無料/契約前提でなくて可/原則2営業日以内